専任/常勤職員向け勤怠管理システムとは
大学職員(専任/常勤職員)向けの勤怠管理システムは、大学職員が出勤・退勤時間を管理するためのシステムです。大学やその求める要件によって様々なかたちが有りえますが、以下に一般的な機能を示します。
1. 出退勤管理
職員が出勤した時間や退勤した時間をシステムで入力することで、出勤日数や勤務時間などを自動的に計算することができます。また、遅刻・早退・欠勤などの理由や状況も入力し、それに基づいて勤務状況を管理することができます。欠勤等の労働時間から除外すべき時間についても自動的に計算することで取りまとめ業務の効率を劇的に改善します。こうしたデータは集計画面として見やすく表示したり、集計データとしてCSVとして出力したりすることで、所属長や人事担当部署による監督、給与処理に役立てることができます。データを長く残すことで、査察対応の資料としても用いることが可能です。
2. 休暇管理
職員が有給休暇や特別休暇などを取得する場合には、システムでその情報を入力し、休暇残日数の管理を行うことができます。また、休暇申請に必要な手続きもシステム上で行うことができます。看護休暇や介護休暇、その他、特定の条件下でのみ取得・使用できるような休暇も柔軟に設定することができます。取得に伴う申請も行えるようにすることで、特別休暇の取得から使用まで、スムーズに運用することができるでしょう。独自制度の休暇ももちろん実現可能です。コロナワクチン休暇のような突発的な制度追加にも対応可能です。
3. 残務/残業管理
職員が残業をする場合には、その情報をシステムで管理することができます。残業の時間や理由、承認者などを入力し、残業代の計算などを行うことができます。一定量を超えた残業に対しては制限をかけたり、所属長(上長)の理由書を求めたりといった動作も実現できます。大学内で目標とする残業時間に向けて、定量的なアプローチを行うことができます。従来は全体に対しての啓蒙だったものが、より根拠を持って、対策が必要な部署や所属長に対するアプローチに変わるため、啓蒙する側の負担軽減にもつながります。法令遵守を推進するための強力な推進装置として機能させることが可能です。
4. 出張管理
職員が国内や国外へ出張に行った際の情報を記録し、付随する経費精算もあわせて行うようにできます。出張の申請から報告、精算までがワンストップで実現するため、申請する側も処理する側も業務効率化が進みます。申請書類としてPDFを残す必要がある場合には、あわせて簡単に出力できるようにすることで、既存の運用から大きな混乱なく移行することができるでしょう。ペーパーレス化を進めるのであれば、はんこの代わりになるような記録やその表示をPDFに記載することも可能です。旅程の距離や日数によって日当や宿泊費有無が変動する場合にも、細かくチェックすることができるため、取りまとめ部署側の負担を軽減することも期待できます。
専任/常勤職員勤怠管理システム構築のポイント
大学運営の屋台骨を担う常勤職員は、大学の規模にもよるものの、人数は非常に多く、その勤怠管理に付随する業務も膨大な量になりがちです。一部の職種を除けば定時勤務が一般的なため、汎用的な勤怠管理システムを導入しているところもあるのではないでしょうか。
一方で、学内の制度や大学特有の業務内容等、なかなかかゆいところに手が届かないのも多いようで、大学の各種制度と高度に連携した勤怠管理システムの需要が大きいのも事実です。学内で働き方が混在しているケースではなおさら汎用パッケージでは対応できません。大学全体となると人数が多いだけに、勤怠に関わる業務効率が少し向上するだけでそのインパクトは非常に大きなものがあります。
また、年単位で変化する法制度への対応もスピーディーに行える必要があります。最近では有給休暇の時間取得がより一般的になるなど、雇用者としての大学に求められる役割もどんどんと変化してきています。改修が必要にはなるものの、こうした学内外の制度変更に柔軟に対応していけるのも独自システムの良さの一つではないでしょうか。
ここでは、独自システムならではの良さをいくつかのポイントに沿ってご紹介できればと思います。
1. 独自の休暇制度にも柔軟に対応
勤怠管理システムには様々な休暇制度が組み込まれることが一般的です。もちろんこうした休暇管理は別のシステムで行うのであれば組み込む必要はありませんが、休暇残数も含めて一元管理したい場合には機能としては大きな塊になります。
俗に有給休暇と呼ばれるもの以外にも、看護休暇や育児休暇、介護休暇等、様々な休暇制度が存在すると思います。また、昨今の例でいえばコロナワクチン接種に伴う休暇を付与したりといった動きもあり、大学独自の制度設計を行っている場合にはそうした休暇にも対応する必要があります。休暇を申請できるだけではなく、その残数を正確に管理する必要があります。残数が足りなければ使えないようにする必要はもちろんありますし、残数をきちんと使い切れるようなガイドも必要でしょう。計算は正確に行う必要があるのは言うまでもありません。
その制度を利用できる対象が限られていたり、付与される休暇数が人によって異なるといった複雑なケースでも柔軟に対応が可能です。申請機能もあわせて用意することで、申請から承認、付与までの一連の流れがシステム上で完結するため非常に便利です。そもそも申請が行える対象ではない方には関連する表示を抑制することもできますので、申請されたものが適正なのかを担当部署の職員が目でチェックする必要がなくなります。
2. 学内データベースとの高度な連携
大学内の職員情報は人事管轄のデータベースに存在していると思います。こうした学内のデータベースと高度に連携できることも独自システムの魅力の一つです。CSVファイル等を介してデータを投入することも可能ですが、頻度が少なくて問題無いデータならまだしも、毎日のように変動するデータでは業務負担が大きくなってしまいます。今日から就業開始の職員がシステムを利用できないというような事態は避ける必要があります。
勤怠管理システムであれば例外はあれど基本的には全職員が利用することになることが多いため、利用者登録やその利用者設定を人力で設定していては非常に時間がかかってしまいます。データが他の場所にあるのであればそこから自動的に取得すべきですし、システム内で変換が必要なデータであれば自動的に変換して取り込む処理で吸収すべきです。
膨大なデータだからこそ、より効率化をはかれるチャンスがあります。部課マスタといったものから、人事情報のマスタ、交通費経路のマスタなど、利用できる情報資産がある場合には、それらを自動的に連携できないかを検討するのをお勧めします。学内ネットワーク内に設置できるオーダーメード型だからこそ、学内の情報資産を積極的に活用できるのが大きなメリットと言えます。
3. 他ソフトとの共存も可能
例えば大学内に病院があり、そこで働く職員には別の勤務形態や、勤怠管理ソフトが動いているものの、休暇制度の管理は人事が全体を統括して行っている、というケースの場合、異なるシステムのデータをうまく統合して管理する必要が出てきます。両者を同じシステム上で統合管理することができれば理想的ではありますが、全く異なる就労環境の場合には分けたままという経営判断も珍しくはありません。
独自システムであれば、こうした他ソフトとの共存も工夫次第で対応することができます。他ソフト側にデータを出力して情報の同期を行うこともできますし、他ソフトからの出力データを取り込んで、部分的な機能を他ソフトの利用者に提供するといったこともできます。それぞれの役割を明確にすることで、こうしたシステム間の棲み分けが行いやすいのも、オーダーメード型開発の利点と言えるでしょう。
もちろん、長期的には一つのシステムに統一していきたい、という大きな構想も実現可能です。リスクを避けるために段階的に統合していくことも、一気呵成に統合してしまうことも、現状やリスク度合いをふまえて判断することになると思います。また逆に、適材適所という考え方で、複数のシステムを共存させていくという方針に沿うことももちろん可能です。
4. 例外的な職員にも対応可能
大学には様々な施設があることが多いと思います。同じキャンパスに集まって存在している場合にはあまり大きな問題にはなりませんが、例えば遠く離れた施設にごく少数の職員が勤務しているといったケースや、サテライトキャンパスに職員が勤務しているといったケースもあると思います。施設以外にも、在宅勤務にどう取り組んでいくかで頭を悩ませている人事担当者の方も多いかもしれません。そうした事務室勤務以外の働き方にも、勤怠管理システムとして対応する必要があります。
こうした特殊ケースの勤怠管理は設備面やアクセス面で多少の柔軟性をもたせていることも多く、システムもその運用に即して柔軟に対応できる必要があります。こうした地理的に特殊な職員以外にも、諸事情により特別扱いしないといけない職員群が存在する場合にも例外処理を実装することで対応できます。例えば、特定の機能については、大学内からのアクセスに限定したい、といったケースでも、主要なキャンパスに加えて、こうしたサテライトキャンパスの設定も加えることで対応が可能です。また、どうしてもネットワーク的に固定できない環境の場合には、特定の教職員番号の職員だけ、例外的に制限を行わないような処理も可能です。
一部だけどうしても人力での処理が残る、となってしまうと業務効率の改善効果が小さくなってしまうため、こうした例外ケースにもシステム的に対応できるように構築することをお勧めします。どこで線を引くかについてはセキュリティ強度との兼ね合いもあるため、大学ごとの最適解を探すことになると思います。