勤怠管理システム例(1)

アルバイト/臨時職員

アルバイト/臨時職員向け勤怠管理システムとは

アルバイト職員の勤怠管理システムは、大学の臨時職員やアルバイトスタッフの勤務時間を管理するためのシステムです。大学の運営方法や、アルバイトスタッフの雇用形態により様々な管理システムの方向性がありえますが、以下に一般的な機能を示します。

1. 出勤管理

アルバイト職員が勤務開始した時間や終了時間、休憩時間をシステムで入力することで、勤務時間や出勤日数を自動的に計算することができます。休憩有無に加えて、残務発生の有無も管理することができます。雇用契約上、勤務する日や曜日が決まっている場合には、あらかじめその曜日や時間を自動的に呼び出して、入力の手間を軽減することも可能です。1日単位での労働時間や週あたりの労働時間をチェックすることで、働きすぎを防止するような制御も可能です。繰り返しの勤務パターンがある場合には、入力の手間を軽減するために、よく使う勤務パターンを簡単な操作で呼び出せるようにするのも良いでしょう。

2. 勤務報告

アルバイト職員が実施した業務の内容や時間をシステムで入力し、勤務報告書を作成することができます。これにより、報酬の計算や業務評価に必要なデータを一元管理することができます。勤務報告までは求めない場合や、勤怠管理システム上で管理する必要がない場合には不要な機能になります。特定の条件下でのみそういった報告入力を求めるといった制御も可能です。役職によって、入力を求めたり、求めなかったりするのも良いでしょう。どうしても紙やPDFとして保管しなければならないような書類がある場合には、そうした出力機能を用意することも可能です。

3. 休暇管理

アルバイト職員が有給休暇や特別休暇などを取得する場合には、システムでその情報を入力し、休暇残日数の管理を行うことができます。また、休暇申請に必要な手続きもシステム上で行えるようにするのも可能です。例外的な一斉休暇や、特定の条件に合致した場合にのみ付与される休暇のようなものも設定することができますので、社会情勢にあわせた臨機応変な対応が可能です。こうした休暇制度の機能化についても、利用者の身分にあわせて動作を変化させることができるため、就業規則に準じた運用が可能です。

アルバイト/臨時職員勤怠管理システム構築のポイント

学内の事務作業の補助として、また、大学関連のイベントの補助スタッフとして、大学生や大学院生をアルバイトや臨時職員として雇用することも多いと思います。こうしたアルバイトの勤務パターンは人それぞれであり、1日だけ働いて終わるパターンもあれば、定期的な時間枠で働くようなパターンもあり様々です。

雇用元も大学内部署であれば、教員個人の場合もあり、なかなか決まりきったかたちがないため大学ごとによってかなり運用が異なる領域でもあります。データの持ち方についても、人事システムを流用していたり、エクセルで管理していたりと多種多様です。雇用人数が少ないうちは問題にならないのですが、人数が増えるにつれて取りまとめの業務負担が増していきます。

どのようなケースでも問題になるのはその事務作業量の多さです。部署単位では少数でも、大学全体となると多くのアルバイトが日々活動しています。その採用から勤務入力、承認までのフローを効率化するには、専用の勤怠管理システムを導入するのが間違いなく効果的だと言えます。勤怠管理部分だけでも効果的でしょうし、その前段階の採用まで統合してしまうのもより効果を高める場合があります。さらには後工程である給与支払いに伴う明細表示なども統合してしまうというのも検討の価値があるでしょう。

ここではどのようなポイントを抑えていけば、効果的、効率的なアルバイト向け勤怠管理システムを構築できるのかについて考えてみたいと思います。

1. 入り組んだ勤務パターンに対応

意欲や能力が高い学生には人気が集中することも多いようで、一人の学生が複数の部署の仕事を手伝ったり、イベント補助に入ったりということはよくあることのようです。こうした複数の仕事の条件や時給が異なる場合も多く、こうした入り組んだ勤務パターンにうまく対応する必要があります。

例えば月曜日には時給1000円でA部署のために働いていた学生が、火曜日には時給1200円でB部署のために働くということが起こりえます。さらには、水曜の午前中にはA部署、水曜の夕方にはB部署、といったパターンも起こりえます。こうした複数の雇用元に対する勤怠を適切に管理できる必要がありますし、入力者である学生が違和感なくその登録を行えるようにする必要があります。雇用の数だけエクセルを入力する、というのは早く解消すべき状態ですし、システム化する際には、雇用の数に関係なくスムーズに勤怠登録が行えるべきなのは言うまでもありません。

入力されたデータは雇用元ごとに集計できるようにし、A部署に関連する勤務内容はA部署の承認者が、B部署に関連する勤務内容はB部署の承認者がそれぞれ承認できるようにします。自部署に関係ない情報は見えないようにすることで、余計な情報漏洩を防ぐことができ、また、承認者のチェックの負荷を軽減することができます。概念的には複数の承認ラインが混在していますが、実体としてはあくまで一人の臨時職員をわけあっているため、画面構成や導線設計をわかりやすくしておく必要があります。入力側においても、雇用部署ごとに別の画面に入力する必要があると非常に手間でわかりにくくもなるため、同じ画面でストレスなく入力できるようにする配慮が必要でしょう。

2. 新規採用から勤務入力まで一気通貫

アルバイトというのは流動性が高い雇用形態でもあります。常に需要が発生しては、新規採用が行われているため、その採用に関わる事務作業だけで人事関連の部署の負担は大きいものがあるのではないでしょうか。取得するべき情報だけでも非常に多くなりがちですし、それが再雇用であればまだしも、職員番号の発番を伴うような新規雇用の場合は取得しておきたい情報量は減らせません。

新規採用申請機能も勤怠管理システム内に組み込むことで、職員や教員がアルバイトの情報を簡単に登録できるようにすることが可能です。採用フローの承認を経て職員番号を発番した後は、システム内で勤務入力が可能になるというスムーズなフローを構築することができます。雇用の際に必要な情報は多くのケースでそのまま監督者(承認者)になることが多い申請者が持っているはずですので、申請者に委ねることは理にかなっていると言えます。

部署によっては大量のアルバイトをまとめて登録するようなケースも想定されるため、例えば複製機能を用意して似たようなデータを簡単に複数登録できるようにしたり、CSVアップロードによる一括登録機能を用意するなど、様々な方策が考えられます。人事担当部課が取りまとめを行うことが多いケースでは、そうした一括処理の機能を充実させると良いでしょう。

システム内で一括管理し、シングルサインオン側とも協調動作できるようになれば、日々の申請だけを承認していくだけで自動的にシステムが新しい職員にも利用可能になっていく効率的な好循環を実現することができます。人事採用フローとの統合も視野にいれて、検討してみてください。

3. 途中での時給切り上げにも対応

法制度の改正により最低時給があがる場合があります。また、人材市況によっては、想定される時給が変化する場合もあると思います。こうした場合に雇用途中で時給を切り上げる場合があり、そうした場合に時給の切り上げ処理をうまく行わないと、給与計算に支障をきたしてしまいます。そういったケースが起こらないほど短期またはスポットの雇用ばかりであれば問題にはなりませんが、数ヶ月や年単位で契約が継続することもあるようなケースでは問題になり得るため、対応できるのであれば対応するほうが良いでしょう。

時給の切り替え日前後で、旧時給と新時給が適切に動作するような機能を構築することが可能です。例えば7月1日より前は1200円、7月1日以降の勤務登録分は1300円といった動作をさせることもできるでしょう。通常は区切りのよい日付で時給を切り替えることがほとんどだと思いますが、例外的に月の途中で切り替えたいというようなケースでも、例えば7月14日までは1200円、7月15日以降は1300円といった動作をさせることも可能です。

法制度の改正のみならず、採用上の理由や、労働組合との交渉結果によってなど、今後も様々な要因によって時給額は変動していくことが予想されるため、途中での変更に強い仕組みにすることをお勧めします。その度に改修費用が必要になる、といった事態は避けるべきです。


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