大学教員/講師向け勤怠管理システムとは
大学教員向けの勤怠(勤務)管理システムは、大学教員や講師の勤務時間やスケジュールを管理するためのシステムです。このシステムは、教員が授業や研究、出張に費やした時間や費用を正確に記録し、他部署との連携の基礎データとすることができます。大学によって異なるかもしれませんが、一般的には以下のような機能を備えたシステムが多いです。
1. 出勤管理
教員が出勤した時間や退勤した時間を記録し、その情報をシステムで管理することができます。また、勤務日数や勤務時間の計算も自動的に行われるため、手動で計算する手間が省けます。契約形態によっては出勤時間を人事的に管理しない場合もあるため、その場合には不要になりますが、労働環境改善のために、打刻データだけは連動したいといった、部分的な導入も可能です。すでにIC打刻機とそれに連動する仕組みが存在する場合には、打刻データを定期バッチ処理でシステム内に取り込み、その取り込んだデータを基に画面表示や、メッセージの表示などを行うことが可能です。一般職員と同じような出勤管理にすることも、その中間にすることもできるのは独自システム開発のメリットと言えるかもしれません。
2. 授業管理
教員が担当する授業の情報を管理し、一覧で見やすく管理します。休講や補講の情報も同時に表示することも可能です。また、休講申請や補講申請を同システム上から申請できるようにすることで、申請に付随する業務のペーパレス化を推進できます。休講や補講申請を行いやすくすることで、最終的に学生側に告知するまでの所要時間を大きく短縮できる可能性があります。授業情報は変更が頻発しがちなため、学内の授業マスタをもっているデータベースと頻度高く自動連携することで、正確かつスピーディーな休講、補講管理が実現します。読み込みに加え、関連する他データベースに、システムから直接書き込みを行うのも有効でしょう。学内の仮想マシン基盤など、ネットワーク的に疎通が可能な場所にシステムを設置することで、こうした高度な自動連携が実現可能になります。
3. 出張管理
教員が研究活動に伴う出張の旅費や旅程を記録し、その情報をシステムで管理することができます。経費精算の部署と連携することで、毎月の精算業務を大幅に効率化することができます。また、過去の届出から履歴を簡単に呼び出せるようにすることで、頻繁に行うような出張の登録負担を軽減することも可能です。学内で経路検索APIが利用可能な場合には、そういったAPIを使用することで、実際に使用した金額を、裏付けのあるかたちで申請できるようにすることも可能です。本人申告の金額ではなく、そうした根拠付きの金額申請になることで、経理精算の部署側のチェック負担を大きく軽減する効果が期待できます。最安か、最短か、といった情報も画面にあわせて表示するようにすれば、さらにチェック業務の効率化につながるでしょう。
4. 予定管理
授業や出張以外の教員の予定を記録し、その情報をシステム上で容易に管理することができます。個人単位の予定管理に加えて、学部単位の予定や、委員会ごとの予定といった多階層の予定管理に対応することも可能です。また、予定に出欠確認をつけたり、賛成反対の投票機能をつけたりすることも可能です。単純な予定管理に加えてこうした意思確認の機能を追加することで、会議体の運営側の管理コストを大きく低減することにもつながります。ビデオ会議のURLも共有しやすくすることで、ますます多様化するワークスタイルに対応できるのもメリットでしょう。あらかじめミーティングURLを入力する専用欄を設けておけば、クリックで自動的に開いたり、画面表示で長い文字列の代わりにアイコンで表示したり、といったことも可能になります。
大学教員/講師勤怠管理システム構築のポイント
大学教育の根幹を支える教員の方は、一般的な雇用形態や職員の方々の雇用形態とは異なることが多いと思います。大学によってはいわゆる勤怠管理をそのまま適用しているところもあれば、ほぼ管理しないといった運用をされているところもあると思います。
一方で、職員同様、大学組織の一員として、様々な制度やルールに従う必要があり、日々、様々な申請や情報登録を行っていると思います。もし、こうした作業がすべてエクセル添付のメールで行われていたり、学内便での書類ベースで行われていたりする場合、業務効率改善の大きなチャンスがあると言えます。教員の補助業務を行っている人の負担軽減も考慮すると、システム導入による恩恵は大学内の広い範囲に及ぶことが考えられます。必然的に横断的なプロジェクトにはなりがちではありますが、それでもやる価値はあると言えるでしょう。
システムの構成としても、がちっとした骨太な勤怠管理機能を作ることも可能ですし、必要な機能だけを提供する教員向けの便利システムにすることも可能です。学内の事情や制度、雇用形態にあわせて設計、開発できますので、関係する職員の事務負担も含めて大きな効果を期待することができます。
具体的にどういった機能を用意することができそうか、いくつかのポイントでご紹介できればと思います。
1. 国内、国外の出張申請の窓口化
教員の方の場合、研究活動のため、視察のため、職員の方以上に出張を行うことが多いと思います。その経費精算や内容審議のための申請登録を、すべて勤怠管理システム上で行えるようにすると情報の一元化が進みます。申請されたものを取りまとめて承認を行う会議体での基礎資料として使うのも良いでしょうし、直接的に承認者がシステム上で承認して完了とすることもできます。
同時に、出張期間と担当講義の重なりをチェックするようになれば、出張中の休講・補講の取り扱いについての申請漏れも防ぐことができ、教務側への影響を最小限に抑えることができます。教員としても出張とあわせて申請を行うことができる方が、申請作業に伴う手間を大きく低減することできるため非常に有用な効果が期待できます。同一システム上で休講申請も行えるようにしておくと、ますます効率はアップします。
また、国外出張のように長期のものであれば旅程の詳細も登録できるようにし、学内の稟議会議に必要な情報をまとめて収集するようにすることも可能です。リスク管理や出張の有効性判断のため、取得する情報は出張種別に応じて細かく制御することができますので、入力の手間をうまく抑えながら、より多くの情報を確実に取得する体制を構築することができます。
2. 会議等の予定の出欠確認に対応
大きいものから小さいものまで、日々たくさんの会議が開かれています。こうした会議の出欠確認だけでも事務局の業務負担は大きいのではないでしょうか。勤怠管理システムに予定出欠確認機能を追加することで、出欠確認を簡単に行うことができるようになります。システムで管理することで、「送った」「送っていない」といった無用なやりとりを減らすことにもつながりますし、何より会議の調整役を担う職員の業務負担を軽減することができます。
また、出欠以外にも、同時に賛否を問えるようにしたり、委任の有無を尋ねられるようにしたりすることも可能です。定例の会議や、単発のイベント等、様々な予定に汎用的に使える機能として便利に活用できます。さらに閲覧状況や返答状況を管理画面内で一覧できるようにしておくことで、返答の督促や返答の取りまとめ、エクスポートも行えて便利です。参加表明をした会議体だけ、見た目に変化をつけてわかりやすくする等も有効でしょう。
Google Calendar等を大学内で採用しているところであればそうしたグループウェアの機能を活用するのも有効ではありますが、出欠確認以上のことを行いたいとなるとすぐに限界が来てしまうのも事実です。勤怠管理システムという位置づけにとどまらず、頻度高く教員がチェックする場所と定義することでまだまだ発想は拡がります。出欠確認にとどまらない使い方を発展させていけるのも、独自システムの利点と言えるでしょう。
3. Googleカレンダーとの連携も可能
大学としてGoogle Workspaceを契約している場合などは特に、日々のスケジュール管理はGoogle Calendarで行っているという教員の方も多いのではないでしょうか。こうした場合、勤怠管理システムとGoogle Calendarで入力の二度手間が発生してしまうと、システムの利用率があがらず、作ったのはいいものの利用する教員が少ないといった事態に陥ってしまいます。
勤怠管理システム側で持っているデータをGoogle Calendar側に容易に書き込み設定できるようにすることで、こうした予定管理に伴う問題を解消できる場合があります。一方に登録すればもう一方にも反映されるようにできれば、使い慣れているツールとの共存が可能になりますので、導入の際の反発抑制や、導入後の利用率向上にも役立ちます。
Google Calendarとの連携粒度も、個人のカレンダーにとどめるのももちろん有効ですし、学内全体の予定を読み込ませるような機能を追加するのも良いでしょう。また、連携するかどうか、また、どういったものを連携させるかを教員が設定で変更できるようにすることで、利用者である教員の自由度を高めることができます。授業情報だけ連携したい、出張情報も連携したい、といった細かい設定も可能になります。人によって情報の重要度やどれを確認したいかは異なるため、細かく設定できるようにしておくことをお勧めします。